お客様向けFAQを運営・管理する担当者にとって尽きない悩みはいくつもありますが、「FAQの閲覧数が上がらない」はその中の大きな悩みのひとつとなります。
「電話やチャットのお問合せが減らない、FAQで解決できる内容のはずなのに…」とFAQが公開されているHPなどの掲載場所をアピールしてもなかなか見てもらえず、せっかく充実させたFAQが役に立っていない、という状況も珍しくありません。
ではなぜ、そのような状況に陥っているのでしょうか?
今回はFAQのユーザビリティ向上をテーマに、FAQの閲覧数を上げる分析事例についてご紹介します。
FAQが見てもらえない理由は?
FAQが見てもらえない=閲覧数が少ない要因として以下が考えられます。
① FAQが掲載されていることを知らない
② FAQがヒットしない
③ FAQがヒットしても役に立たず、それ以来見るのをやめてしまった
① については、特にHPや会員ページなどにおいてすぐに目に付く場所にFAQへのリンクが無いため生じている=導線の問題と言えそうです。
② については、そもそも存在しないからヒットしないのか?存在するのにヒットしないのか?を追求する必要がありそうです。
③ については用意されているFAQに網羅性がない、粒度が合っていないなどの課題があるかもしれません。
この中でも特にFAQの品質に直接関係があると思われる②③について、次項で掘り下げていきます。
FAQの品質を評価する
FAQの品質評価を行うための前準備
FAQが見てもらえない要因として、特にFAQの品質起因と思われる2点の仮説をピックアップしました。
- FAQがヒットしていない(存在しない or 存在してもヒットしない)のではないか?
- FAQがヒットしたとしても役に立っていない(表現や話題の粒度に問題がある)のではないか?
これらを検証するにあたり、必要となるのがFAQデータと「実際のお問合せデータ」です。
実際のお問合せデータには、応対履歴のようなオペレーターやシステム側で端的に要約したテキストと、通話やチャットのログのように会話全体が記録されているテキストに分かれます。
どちらを用いてもFAQ品質評価分析は可能ですが、お客様の表現を活かしたい、オペレーターとのやり取りの内容をトークスクリプトとして取り出したい等の目的があれば、会話全体が記録されているテキスト(対話データ)を用いるのが良いでしょう。
ただし対話データの場合、不要語の削除、話題単位の分割、話題のラベリングなどを行って分析しやすいデータに整える必要あります。
FAQの品質評価分析
検証目的は「お問合せ内容にマッチしたFAQが存在するか?」「FAQの網羅性・粒度に問題がないか?」の確認となります。
また検証手段は、お問合せデータを分析して実際にお客様が聞きたい/知りたいことを洗い出し、FAQとのカバー率(似た話題をどれだけ網羅できているか?)を可視化する、という流れとなります。
この検証に最適なツールがVext知識+です。
Vext知識+では、FAQデータと問い合わせログのQAを比較し、カバー率を円グラフで表示することが可能です。
円グラフは比較したデータ同士がどれくらい似ているかをシステムが判定した数値「関連度」の範囲によって色分けされます。
おおまかには以下のようなエリア分けがされています。
- 赤:カバーされている話題エリア(既存FAQで対応できている)
- 青:ややカバーされている話題エリア(既存FAQに似た話題があるが表現が異なる)
- 緑:カバーされていない話題エリア(既存FAQに似た話題がなく、新規で作り足しが必要)
各エリアの割合により、現在のFAQの品質評価を行うことができます。
- 赤が多ければ問い合わせに対応するFAQが多く存在し、照会内容を網羅できている状態。
- 青が多ければ近しいFAQはあるものの、お客様の知りたい内容に完全にはマッチできていない状態。
- 緑が多ければ、そもそもFAQの網羅性が乏しく検索してもヒットしない状態。
これにより「自社のFAQのどこに問題があるのか?」をある程度可視化することができたので、あとは結果が示す方向で見直しを行うと良さそうです。
赤の割合が多ければFAQそのものではなく導線の見直しをする、緑の割合が多ければ既存FAQのチューニングを行う、青の割合が多ければ新規FAQを作り足す、などが考えられます。
また、青や緑に該当した話題に関してはVext知識+を用いることで、効率的にチューニングを行うことができます。
FAQの品質評価分析の事例
とあるBtoC企業では、コールセンターの通話ログ(音声認識テキスト)を対象に前述の分析を行った所、青=近しいFAQはあるものの、お客様の知りたい内容に完全にはマッチできていない割合が多いことが判明しました。
そこで青エリア内のデータを確認したところ、以下のようなことが分かりました。
●既存FAQの質問文
「解約方法を知りたい」
●通話ログの質問文
「解約しようと思っていろいろ調べたんだけど、申込時の書類が必要なんですか?手元にないんですけど」
大きく捉えればどちらも同じ「解約方法」に関するお問い合わせではあります。
ですがお客様の質問表現の方がより具体的であるため、お客様が「解約 申込 書類」などで検索をしてもFAQがヒットしなかった事により入電に繋がった、という背景が見えました。
このようにお客様が用いる表現≒ヒットしやすい検索ワードを見つけ出し、結果として閲覧数の向上に役立てる事が出来ました。
FAQの閲覧数が上がらない場合は、FAQとお問い合わせを分析してカバー率を確認することで、どのような課題があるかを可視化することができます。
より詳細な情報や事例について知りたい方は、お問合せフォームよりぜひお気軽にお問合せください。
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