チャット応対での課題を見つける!有人チャットログの分析事例


マルチチャネル対応が進み、導入件数がここ10年ほどで激増したチャットボット。電話応対とのハイブリッドのような、オペレーターによるリアルタイムなチャット対応を重視する企業も増えています。そんなチャットの有人対応では、ボットにはできない、状況に応じた柔軟な対応や、積極的な課題解決姿勢が重要です。
本稿では、有人チャットログの分析でどのような課題が解決できるか、実際の分析事例やそのポイントを含めてご紹介いたします。

今回は有人対応のチャットログ分析について、実際の事例から得たコツをご紹介します。

1.チャットボットの対応可能範囲の拡張

チャットボットの良さは、いつ何時でも自動で回答できる点ですが、課題解決のために詳細な背景・状況確認が必要な場合には回答できないことが多いです。このように、ボット(無人対応)と有人対応では対応できる話題の向き・不向きがあります。
ただ、本来であればボットで回答が完結するのに有人対応となってしまって、リソースが割かれてしまいがちな話題もあります。この場合、お客様からの問い合わせをボットが正しく判断できていない可能性が高く、これを改善することで本当に有人対応が必要な複雑なケースに注力できるようになります。

ボット対応で完結できるはずなのに有人対応になる話題の分析は以下のように進めます。

① 有人対応部分の問合せ傾向の把握

有人対応ログを切り出し、問い合わせ傾向を把握します。
●ポイント:チャットキー発話分割機能の利用
特定発話(例「オペレーターにお繋ぎします。」)を起点に前後にデータ分割し、特定発話の前後のデータを個別に分析できます。

② 問合せ内容のうち、課題のありそうな話題を洗い出し

課題のありそうな話題の判断基準は以下のようなものが挙げられます。
オペレーターからの簡易な回答や情報提供のみで終了した話題、別窓口を案内している話題 など
●ポイント:属性情報の活用
チャット対応時間の短いものから優先的に選別するなど、属性情報による効率的な選別も可能です。

③ ボット対応に移行できるよう、FAQ等の整備

●ポイント:対策方針の検討にあたって必要な情報整理
有人対応になってしまった要因は大小さまざま考えられます。
例えば、実際の問い合わせ表現とボット内に登録された問い合わせ文との表現の差、FAQ自体の見つけにくさ、製品ごとの切り分け対応、ボットへのアクセスの悪さなど、改善施策を取るにあたっての効果、必要工数を見積もらなければなりません。
チャットログから判断ができる場合も、チャットログ以外の情報が必要な場合もあるので、スムーズな施策検討には課題特定段階での仮説設定も重要です。

2.効率的なオペレーター対応の可視化

有人対応チャットにおいて、効率的・短時間で対応が完了できることを重視するセンターは多いようです。効率的に案内を進めるうえで各オペレーター(コミュニケーター)が工夫している点を得運営側が難しいですが、チャットログの分析によって効率的な対応の傾向が可視化できる場合があります。

分析は以下のように進めます。

① 全体傾向の分析

主要話題の可視化など、一般的な全体傾向分析を行います。

② チャット時間の差が大きい話題を洗い出す

●ポイント:属性情報の利用(チャット時間)
チャットの開始・終了時間のデータがある場合、チャット時間の長短を分析に利用できます。同一話題を含むと判定されたチャットログのうち、チャット時間のばらつきが大きい話題は、「短く済ますこともできるが、何らかの要因で長時間化する可能性がある」と言えます。
テキストマイニングツールVextMinerチャット分析オプションではカテゴリグラフのクロス分析により、容易にチャット時間の差分の大小を比較できます。

③ ②話題における長時間化要因を特定

●ポイント:予想を立てて検証する
チャット対応における長時間化要因は主に以下のものが考えられますので、対象話題がどれにあたりそうか、予め想定したうえで検証を進めれば分析に充てる時間を短縮できるかもしれません。
対応時間が短いチャットログを比較して検証することでも要因特定ができる可能性があります。

例)よくある長時間化要因
A. 長時間の回答待ち(オペレーター)=正確な回答のためマニュアルやスタッフへの確認が必要
→オペレーターの知識不足によるもので、なおかつ頻度の高い問い合わせであれば、全体周知する
ことで高い改善効果を得られます。
B. 長時間の回答待ち(お客様)=正確な状況特定に時間がかかる
→オペレーター対応待ち時間に予め必要情報をリスト化して確認依頼するなどの施策により、効率的な回答ができる可能性があります。
C. オペレーターとお客様とのやり取りが細かく多数回発生=オペレーターからの状況確認質問を都度確認・回答することで長時間化
→お客様への確認事項はある程度整理し、まとめて依頼するなどの施策で改善できる可能性があります。

④ 効率的なチャットログの話題遷移パターン抽出

短く簡潔にチャットを終えているログから、特定の問い合わせが効率的に解決にいたる話題の遷移パターンを抽出できます。長時間化したログとの比較により、特に重要なポイントなどが判断できるようになる可能性もあります。また、効率的な話題遷移パターンを全体周知することで、当該話題の問い合わせをオペレーター全体が効率的に処理できるようになります。

⑤ 改善施策の検討・実施

上記③に示したような、各要因から考えられる効果的な改善施策を検討・実施します。

まとめ

今回は、実際の導入事例で使用した、有人チャットログの分析ステップやコツをご紹介しました。VextMinerチャット分析オプションには、目的に合わせてご活用いただける機能が多数搭載されています。

自社データで分析してみたい、希望の分析ができるか確認したいといったご相談がありましたら、是非お気軽にお問い合わせ下さい。


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