コールセンターを運営している企業からよくいただく課題の1つに、オペレーター教育が挙げられます。
オペレーター教育といってもさまざまあり、「新人のオペレーターを即戦力化したい」、「成約率アップ・解約率軽減のノウハウを抽出したい」といったご要望もいただきますが、それらはぜひ、関連の過去ブログ「会話から見つけ出す“解約阻止のノウハウ”」や「新人オペレーターを即戦力にするためのテキストマイニング」を本記事と一緒にご参照ください。
今回は、とある通販事業者とお客様とのチャットでのやりとり=チャットログデータを例に取り、生の「対話データ」から知ることができた現場の実態と、改善による効果の事例をご紹介したいと思います。
例となる通販事業者では、チャットログデータから現場の実態を知るためにVext知識+(ベクストチシキプラス)を用いました。
音声認識テキスト=会話データの扱いについては、過去ブログ「「会話に役だつ」FAQやシナリオを会話データから取り出す手法」もぜひご参照ください。
シナリオから実態を知る
Vext知識+でできることの詳細はぜひリンクをご覧いただきたいですが、簡単にご紹介いたしますと、今回のケースではチャットログデータを対象に、トークスクリプト(トークフロー)となるシナリオとそれに紐づくFAQを抽出しました。
その中でも、自社のチャット応対の実態を知るために主にシナリオに着目しました。
例で挙げる通販事業者では、今までのコールセンター業務で培ってきたノウハウを詰め込んだ有人チャット応対用のスクリプトも用意していたため、それらを参考にオペレーターが対応していたためです。
以下イメージ図のように、オペレーター毎に「どのようなトークスクリプトをよく使っているのか?」、「お客様をお待たせしてしまったり、折返し電話となってしまっているような対応はあるか?」、「同じお問合せでも、効率的なスクリプトで対応しているオペレーターはいるか?」といったことを、Vext知識+では通話単位で可視化することができます。
それらを確認していくことで、現場ではベテランオペレータはオールマイティに様々な問合せに対応できると思っていたが、実は経験年数には関係なく偏りがあったり、聞き込みが甘かったりと、一人一人の改善点が発見できた。とフィードバックをいただきました。
実態を知るには、限定的にいくつかの通話録音や対応中の内容を聞いたり、実績だけで評価をしたりするのではなく、ログ全体を通話単位で定量的に評価することが重要です。
次に、実態を知った結果、改善した効果はどこにあったか?をご紹介します。
①既に展開しているスクリプトを見直し改善する
実は、展開していたスクリプトだとお客様との確認に無駄な工数がかかっていることが分かりました。確認が不要なものや、手続きに不要な情報提供依頼があった箇所など、現状のスクリプトを改善することで、チャット対応の時間削減およびお客様の待機時間軽減に繋がりました。
②お客様の言葉を使いながら対話し、必要な情報を伝えて解決する
社内用語や正式名称はありますが、お客様が利用する表現をそのまま使って対応する方がスムーズにいくケースもありました。「〇〇のことですね?」とオペレーターが確認した際に、お客様にとっては普段馴染みのない言葉やサービス名称だとそれを理解するのに時間がかかってしまい、「それって何ですか?××と同じですか?」といったやりとりが発生してしまいます。
お客様側の認識とオペレーターのそれが一致してさえいれば、お客様の言葉・表現を利用して対話することで、解決・改善に必要な情報だけを伝えて対応することができ、①同様、チャット対応の時間削減およびお客様の待機時間軽減に繋がりました。
ちなみにこういった通話は、お客様からの対応満足度も高いという実績もありました。どんな対応にも万能に使えるわけではないですが、ちょっとした工夫は重要ですね。
③オペレーター個々のノウハウを参考に全体の対応品質を底上げする
オペレーターが個々人で持っていたノウハウが、先ほどご紹介したイメージ図のように可視化できたため、それらを展開することで全体の対応品質の底上げ=本事例では全体での解決率アップにつながりました。
一律で同じ教育を行っても、該当のテーマの通話が割り振られる割合は予測できないこともあり、オペレーターごとにパフォーマンスや反映スピードが異なるのですが、各オペレーター単位での得意・不得意が可視化できたことで、個別指導を行った効果であったとのことです。
④チャットBOTで対応できるスクリプトを発見し、ボットのシナリオに組み込む
既にホームページやよくある質問で公開しているFAQに関するご相談を有人対応で受け付けていることが分かりました。ボット側のFAQが足りないことが分かったため、組み込むことで無人対応率アップといったことも、当初の目的とは異なりますが、副産物的に発見することができ、改善が出来ました。
現場の実態を知るには、通話単位で全体を俯瞰し評価・改善策を多角的に模索することが重要です。
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