「あっと驚く少数意見」は本当に存在するのか?


製品開発のヒントを得る目的でVOC分析を行う際、重要になるのは少数意見です。
既に認識している主要意見を除いた少数のニッチな意見が、「思いも付かなかった」「まだほとんどの人が気付いていない」ニーズのヒントとなる可能性があるためです。
ただし、「重要なヒントが自社のデータにも“必ず”含まれている」とは限りません。

今回は「あっと驚く少数意見」を見つけ出すために重要な2つのポイントについてご説明します。

1.主要話題と「その他」を選り分ける

少数意見はやみくもに探そうとしても労力ばかりが掛かり、本当に存在するのかどうかも判断が付きません。
そのため、まずは対象データを主要話題と「その他」に分ける必要があります。

主要話題は一定以上の人数が同じ内容を語っているため、粒度の大きなグループとしてまとめることができます。
ただしどこまでを主要話題とするかを考える必要があるため、以下の定義を行う必要があります。
① 主要話題をどこまで集めるか
② どれくらい似た表現であれば、同一の主要話題と捉えるか

①主要話題をどこまで集めるか

主要話題グループを集める際に、例えば「n人以上が語っている話題であれば主要話題」と定義付けをします。
すると、データの母数によって主要話題の数が大きく変動することになり、10万件レベルのデータを対象にした場合は無数のグループが生まれてとても確認しきれない…という状況に陥ってしまいます。
そのため、弊社のテキストマイニングツールVextMinerでは「件数が多いグループから優先してn個のグループを選出する」ことで、主要話題を選り分けています。

これにより、主要話題を効率的に見つけ出すことができ、主要話題に入らなかった意見たちを「その他」としてまとめる事ができます。
少数意見を分析する際には、この「その他」だけをターゲットにすることで、効率的に少数意見を見つけ出すことができます。

②どれくらい似た表現であれば同一の主要話題と捉えるか

ただし、機械的にn個の話題グループを集めても、その中身の精度は担保できません。
よく似た話題も集まっているが、中には全く似ていないゴミ話題も含まれてしまう可能性があります。
そのため、どのくらい似ていれば同一話題とみなすか?を明確に定義しなければいけません。
その際に指標となるのが「関連度」です。
VextMinerは分析対象のテキスト列から自動的に学習を行い、文書間の「関連度」を算出することで、どれくらい似ているか?を数値としてあらわすことが可能です。
分析担当者は推奨値を参考にパラメータの調整をすることで、「どれくらい似た表現を集めるか」を簡単に操作して決定することが可能です。

結果として、「よく似た主要話題」から零れ落ちた「他とは似ていない少数話題」を取り出すことができ、また少数話題の中でも似ている話題を集め、「複数人が語っているニッチな話題」の発見に繋げる事ができます。

2.データの“残し方”を工夫する

1の工程を終えた段階で、新たな気付きとなるような少数意見が見つからないこともままあります。
探し方が悪いのか、分析手順に誤りがあるのか?…という悩みを抱える分析担当者も少なくありません。
もちろん分析手順が適切でないと少数意見は埋没してしまいますが、手順に誤りがないのであれば、そもそもデータそのものに少数意見が(ほとんど)含まれていない可能性があります。

この問題は、記述者(音声認識の場合は話者)が必要な情報だけを記録し、少数意見に当たる「個人的な状況・背景」「ささいな疑問」「(特に顧客側の)反応」が残されていないために発生します。
特に応対履歴のような、顧客本人ではない第三者がやり取りを記録する際、主観的に不要と判断した些末な情報を省略してしまい、実はその些末と感じた部分に重要な気付きが隠れている、というケースが生じやすいと言えます。

また、ニーズを抱えている顧客側でも、やり取りに不要と感じれば口頭に乗せることなく会話が終了してしまうため、隠れたニーズを企業側が知り得ない状況となってしまいます。

これを回避するためには、データの残し方やヒアリングの仕方を工夫する必要があります。
状況や背景を可能な範囲で確認する(どんな使い方をしていたら壊れたのか?など)、お客様の表現はなるべくそのまま記録する、といった対策を取ることで、未発見のニーズを自ら収集しに行くことが可能です。

少数意見を見つけ出すためには、分析上の工夫だけでなく、データ収集段階での工夫も必要です。


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