近年様々な企業において重要な顧客接点となっているチャットボットですが、その中でもコミュニケーション型のチャットボットにはまだ多くの課題が残されています。
今回はコミュニケーション型チャットボットの会話力を上げるために、どのような分析が有効かをご説明します。
QA型チャットボットとコミュニケーション型チャットボットの違い
コミュニケーション型チャットボットとはどのような物でしょうか。
チャットボットは大まかに分類するとQA型とコミュニケーション型に分かれます。
QA型は機械的に一問一答を行うチャットボットで、主にHPの問合せ一次回答などに使用されます。
コミュニケーション型は利用者と会話を行うことを重視し、一問一答の他に雑談などのやり取りにも対応できるチャットボットです。
イメージとしてはSiriやAlexaに近い存在と言えるでしょう。
コミュニケーション型は企業のブランディングにも関係し、より身近な存在として情報提供を行うだけでなく、時にはキャラクター性を持たせて企業に対する親近感を与える役割を持っています。
製品サービスに関するFAQだけでなく「会話を楽しませる」ための工夫が必要となり、どのような立ち位置とし、どのような知識を盛り込むかが運用上の課題となります。
コミュニケーション型チャットボットと利用者の会話内容を知る
「会話を楽しませる」ためには、様々な問いかけに対する回答を用意する必要があります。
利用者は天気の話をしたいのに「質問の意味が分かりません」と返されては、それ以上会話を続けようと思えず、次第に使われないシステムとなってしまう可能性があります。
最初から豊富な会話知識を用意することは困難であるため、運用開始後に実際の会話内容を分析し、「利用者がどのような問いかけをして、どんな会話を期待しているか」を可視化する必要があります。
例として、高校生向けコミュニケーション型チャットボットにおける会話内容(問いかけ)の主要話題は以下のようなものでした。
- 挨拶(おはよう、おやすみ)
- チャットボットキャラクターの個人情報(名前は?何歳?)
- チャットボットへの要求(教えて、応援して)
- 季節・天候
- 人生相談(恋愛、悩み、学校)
- 体調(眠い、痛い、おなかがすいた)
- 製品・サービス
キャラクターに興味関心を持ち、日常会話を楽しみたいという意図を感じさせる話題が中心であることが分かりました。
一方で、チャットボットが的外れな回答を行った場合は「ちゃんと話を聞いて」「謝って」など不満を表明し、「バカ」「嘘つき」など罵倒を行っている状況も可視化されました。
コミュニケーション型チャットボットの会話力を上げるには
チャットボットが「誰をターゲットにしているか」「どのような存在としたいか」により期待される会話内容が異なります。
企業の想定と利用者の目的に差が生じることも多々あるため、必ず運用後に分析を行い、「求める/求められる姿」に対して不足している部分を補う必要があります。
例として、サービス利用者に対するコンシェルジュの立ち位置となるチャットボットにおいて、利用者の目的(知りたい事)に対して適切な提案ができたかを分析で明らかにしました。
結果として、目的がピンポイントであれば難易度が低くなり成功率が高く、あいまいであれば難易度が高くなり成功率が低くなるという傾向が見て取れました。
傾向が把握できた後、以下について詳細分析を行いました。
① あいまいな表現のグループ化
② 有人コンシェルジュサービスとの成功率比較
① あいまいな表現のグループ化をテキストマイニングツールで行った結果、いくつかの主要なパターンを抽出することができました。
その結果を用いて②有人コンシェルジュサービスデータを分析したところ、特にチャットボットの成功率が低い目的については、有人であっても成功率が低いことが判明しました。
一方で、チャットボットでは解決できず、有人対応であれば解決できる目的も明らかになりました。
有人対応データから該当のナレッジを抽出し、チャットボットの会話知識とすることで、回答の拡充につなげる事が出来ました。
このように、チャットボットの会話内容や、時には対になる有人対応の会話内容を分析することで、チャットボットの「会話力」向上に役立てる事が可能です。
コミュニケーション型チャットボットの「求められる姿」を分析で明らかにすることで、不足している会話知識を効率的に追加することが可能です。
より詳細な情報や事例について知りたい方は、お問合せフォームよりぜひお気軽にお問合せください。テキストマイニングに興味をお持ちの方は、無料のセミナーもございますので、お気軽にご参加ください。
関連製品:VextMinerチャット分析オプション
関連ワード:自然言語処理