競合他社と比較して「自社のブランド」を分析する


自社に対するブランドイメージを分析する際、どのようなデータを対象とするか?を考える必要があります。
SNSで自由に意見が交わされているだろう、では自社に関するキーワードを含むデータを対象としようか…と考えているのであれば、もう一歩引いた視点で検討を行うべきでしょう。
自社のブランドを分析する場合は「業界の中で」「他社と比べて」どうなのかが重要なポイントとなります。

今回はSNSデータを対象に、競合他社と比較をした自社ブランド分析の手法をご説明します。

ブランド分析をするには自社データだけではダメなのか?

自社のブランドについて分析をするのに、他社のデータは必須なのか?と疑問を持つ方もいることでしょう。
その疑問に対する答えは「自社データだけでもブランド分析は可能だが、片手落ちとなる」となります。

例えば自社のブランドに言及しているデータをSNSから取得して分析を行ったとします。
この際に、全体データの中で新製品のCMに関する話題が突出しており、SNSで反響を得ていることが分かった場合、「今回のCMは成功だ」と判断するのは早計と言えます。
同時期に競合他社が似たような新製品のCMを打ち出していた場合、そのデータと比較をすることで、「話題件数の差はどれくらいか」「話題に上がっているポイントはどう違うか」「好印象とする意見はどちらの方が多いか」などが分かり、結果として「実は他社のCMの方が話題件数も多く、ライフスタイルの提案部分で高い評価を得ているようだ」といったことを把握できるようになります。

このように具体的な比較を行うことで、自社ならではの強みや他社がリードしている点を認識し、どのようにブランドイメージを構築すべきか施策を検討することができるようになります。

他社と比較するための分析手順

では、他社と比較をする際はどのような手順で分析を行うべきでしょうか。

大まかには以下の手順で進めるのが良いでしょう。
① SNSからデータを取得
② 各データからゴミデータを削除
③ 件数に大きな差がある場合はランダム抽出で母数を揃える
④ 分類体系は、大分類は共通、中分類~詳細分類は各社固有のものとする

①SNSからデータを取得

Twitter等のSNSからデータを取得する際、クローリングワード(絞り込み対象のキーワード)の粒度は自社・他社で揃えることをお勧めします。
自社のデータを社名、製品名(ブランド名)で集めるのであれば、他社のデータも社名、競合製品名で集めることで、偏りのないデータ収集が可能と考えられます。

②各データからゴミデータを削除

SNSに対し特定のクローリングワードでデータを収集しても、全てが関連する話題とは限りません。
例えば企業名の「キリン」と動物の「キリン」のように、同じ言葉でも違う話題を指す場合が多く含まれます。
そのため、自社・他社データそれぞれからゴミデータを削除する必要があります。

③件数に大きな差がある場合はランダム抽出で母数を揃える

自社と他社のデータ量に大きな差がある場合は、ランダム抽出を実行して母数を揃えましょう。
元件数を見れば自社と他社の話題総数が比較でき、ランダム抽出後は話題分類ごとの比率を比較できます。
そのため、ランダム抽出を行う前の件数と行った後の件数は必ずメモしておくことをお勧めします。

④分類体系は、大分類は共通、中分類~詳細分類は各社固有のものとする

自社と他社を比較するのであれば、使用する分類体系の大分類は双方同じものを使用する必要があります。

図のように、大分類が共通であれば自社と他社を比較した際にどの部分で違いが生じるのかが一目瞭然となります。

一方で、中分類以下は共通であることを必須とせず、各社固有とした方が分類しやすいと言えます。
製品であれば機能面などに差があり、自社にはあるが他社にはない話題が必ず発生します。
そのため無理に共通の分類名を付けず、各社それぞれの話題分類とすることで、細かい部分での違いや逆に共通している箇所を確認できるようになります。

ファン層の違いを確認する

前述のように全体の分析で大きな傾向を把握することはもちろん重要ですが、ファン層の違いも重要なポイントとなります。
詳細分類などの具体的話題を確認することで、ユーザーが対象ブランドをどのように見ているのかを把握することができます。

例として、とある製造業の分析結果は以下のようになりました。
・自社:
 企業動向に関するツイートが多く、コンプライアンスに注目が集まっている。
 ユーザーは遠巻きに眺めている印象。
・他社:
 商品動向に関するツイートが多く、性能面に注目が集まっている。
 ブランドをいじるユーザーが多く親近感を抱いている印象。

親しみを抱いている、もしくは熱心なファンが多いブランドはSNSの中にコミュニティが生まれており、企業がプロモーションによる介入を行わずとも活発に意見交換がされるようになります。
自社が現状どのように見られており、他社はどう捉えられているのか、定期的なチェックと対策を行うことで、「自社を支えるファン層」の獲得につなげることができます。

自社のブランド分析を行う際は、他社のデータと比較をすることで、より充実した結果を得ることができます。


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