〆切に焦らないレポート作成のスケジュール
分析担当者にとって悩みの種となるのが、上司からの「いつまでにできる?」という質問です。
期待に応えようとタイトなスケジュールを出して残業に追われたり、不測の事態に手間取ってしまい予定通りに進まなかったり…。
何とかレポートの叩き台を作成しても「この切り口じゃダメ」なんて突き返されることもあるでしょう。
今回は「無理をしない」「適切な」スケジュールの立て方についてご説明します。
1.レポートのレベル感を決める
分析に着手する前に、まずはレポートのレベル感を決めましょう。
レポートのレベル感により分析の深度が変わり、必要となる工数にも差が生じます。
レベル感を決めるためには依頼元に要件をヒアリングし、「まずは速報版でいいのか?」「深掘り分析まで含めたリッチなレポートが必要か?」をすり合わせます。
前者の場合は、例として話題の整理と特徴話題のピックアップを行い、5~10枚程度のレポートにまとめます。
後者の場合は、中間報告、最終報告に分けて段階的にレポートを提出し、方針をすり合わせながら進めると良いでしょう。
2.一日の業務時間から分析作業時間“枠”を確保する
分析担当者であっても「丸一日分析しかしない」という人は珍しいでしょう。
他の業務も抱える中で分析を行える時間を捻出する、という人が多くを占めるかと思いますが、「午前は11時まで会議があるから1時間ほど分析作業をして、昼食後にも30分くらい作業時間を取って…」と隙間時間を活用するのはお勧めできません。
分析作業は大きく「話題を整理・体系化する」フェーズと「結果から課題点を発見し、掘り下げる」フェーズに分かれますが、全体としては筋道を立てた思考が必要とされます。
そのため作業時間も細切れではなく、“枠”として一定時間を連続して確保することが望ましいと言えます。
毎日作業時間を確保することが難しい場合もあるため、「週3日、各4時間ずつ」を目安として作業時間枠を設定しましょう。
3.作業工程別に所要日数を考える
作業工程を考えるためには、分析対象となるデータを確認して特徴を把握する必要があります。
アンケートのように構成がシンプルで短文のデータである場合、標準的な手順で分析作業を進めて行きます。
① 話題ごとにグルーピングし、話題の分類体系を構築
② 各話題(=カテゴリ)の条件を設定
③ ②の条件に従いグラフ化、全体傾向の把握
④ ③から特徴を示す(課題を有した)カテゴリを抽出・深掘り
⑤ 少数の話題から予兆を発見
⑥ ①~⑤の結果をレポートとしてまとめる
分析作業量は「方針を決めるための試行錯誤」の時間に影響されるため、②>①>④>③>⑤となります。
試行錯誤の工数は詳細分類数に関係します。
全体傾向を知る目的であれば100詳細分類以内が適切となるため、それを目安に所要時間を計算すると良いでしょう。
一方、メールのように不要な文が多く複雑な構成のデータである場合、データの前処理が工程として加わります。
⓪前処理(不要文の削除)
① 話題ごとにグルーピングし、話題の分類体系を構築
② 各話題(=カテゴリ)の条件を設定
③ ②の条件に従いグラフ化、全体傾向の把握
④ ③から特徴を示す(課題を有した)カテゴリを抽出・深掘り
⑤ 少数の話題から予兆を発見
⑥ ①~⑤の結果をレポートとしてまとめる
データ中の不要文がパターン化されていれば⓪の工程はある程度自動的に処理できますが、パターン化されていない場合は前処理の方法を検討する必要があり、その分工数が多くなる見込みとなります。
前処理の要不要の判断が付かない場合は①の工程まで進むことで、分析にどの程度影響するかを確認できます。
いずれにせよまずはデータの中身を見なければ判断が付かないため、スケジュールを出す前に必ずデータを確認することをお勧めします。
4.レビューのタイミングを決める
せっかく分析結果をまとめても「これじゃダメ」と突き返されて手戻りとなる場合もあります。
分析を進める上で必ず必要となるのが“方針のすり合わせ”です。
先述の分析工程の「①話題ごとにグルーピングし、話題の分類体系を構築」ができた段階で、上司・クライアントなどの依頼元にレビューしてもらうのが良いでしょう。
この段階であれば手戻りが発生したとしても影響は少なく、分類方針さえ固まれば以降の工程でも大きな認識齟齬は生まれにくくなります。
レビューの日程は分析着手前、もしくは①の目途が立ち次第ブロックします。
なかなか日程が決まらず以降の工程が後ろ倒しになることを避けるためにも、なるべく早い段階で予定を立てておくことをお勧めします。
また、欠席者が後から異を唱えて巻き戻しになる事態を避けるためにも、できる限り関係者が出席できるように設定しましょう。
5.スケジュールの目途を立てる
1~4で挙げたポイントを加味し、全体のスケジュールをざっくりと立てましょう。
分析対象はシンプルなデータで速報版のレポートで良く、週3日各4時間作業できるのであれば、上司のレビューが1週間後、レポートの提出はその1週間後とし、合計2週間で完了できそうです。
〆切が先に指定されており変更ができない場合でも、1~4のポイントから作業可能な範囲や工数をおおまかに計算することで、いつまでに何をすれば間に合うか予想することができます。
まとめ
〆切に焦らないためには、ポイントを押さえておおまかなスケジュールを立てることが肝要です。
また、方針のすり合わせは途中の段階で必ず行いましょう。
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