営業活動の記録はかつて紙ベースで残されていましたが、今ではクラウド型の顧客管理、営業支援システムなどで保管・管理を行う企業が多くなっています。
ですが、せっかくの膨大な活動記録が備忘録としてしか使われていないのであれば、企業にとって宝の持ち腐れとなってしまいます。
今回は、営業活動記録のデータを分析し、営業活動に活力を与えるための手法をご紹介します。
1.分析の前準備 〜データを整理する〜
営業活動記録を分析するにあたり、まずは情報の整理が肝要です。
営業部員全員が同じフォーマットで活動内容を記録しているのであれば問題ありません。
対象データをテキストマイニングツールで読み込めば、すぐに分析に取り掛かることができます。
「自社の営業記録は、ExcelだったりWordだったり、メールで日報を飛ばしたりとバラバラだな」と思った方は、まずデータを整理する所からスタートしましょう。
単純に活動記録にあたる全データを1つにまとめようとすると、データソースによってフォーマットが異なるため、どこに何が書いてあるのか?も統一されていない状態となります。
このような場合、分析対象となる箇所を特定することが難しくなり、正しい分析結果を得ることができません。
そのため、データソースの種類に従ってそれぞれデータをまとめることをお勧めします。
具体的には、データソース別に「何列目に何の情報が書かれているか」を統一する必要があります。
これを行うことで、どこを分析対象とするべきか、属性情報はどれかを明らかにすることができ、分析をスムーズに実施することができます。
2.分析の前準備 〜情報の取捨選択をする〜
活動記録の中には、「本日○件対応。」といった周辺情報や、メール日報の場合は「お疲れ様です、○○です。」というような挨拶文など、分析上不要な情報も含まれます。
不要な情報が少量の場合は大きな影響となりませんが、多量となる場合は分析結果にノイズを与え、重要な情報を見つけにくくしてしまいます。
ご利用のテキストマイニングツールに「不要語削除」の機能があれば、これらの不要な情報を一括削除することができます。
逆に分析上必要な情報は、「どの顧客に対して行なった営業活動か」「顧客の反応」「次のアクション」などです。
1件の記録に複数顧客への営業内容が記載されている場合は、「どの顧客に行った営業活動か」を明らかにするために、記載ルールを設ける(共通のフラグ立てをする)必要があります。
例)
■A社
初回訪問。
○製品についてデモを行い説明。
ライトプランでの見積り依頼あり。
4月に利用開始を検討、稟議に一ヶ月を要するとのこと。
■B社
見積りを持参してご案内。
競合他社の方が安いが、機能的には○製品がマッチしているとの反応。
同業界の導入事例をレポートを使って説明。
決裁権がある担当者からゴーサインをいただけた。
上記の例のように、「■顧客名(改行以下本文)」というルール付けがあれば、テキストマイニングツールで顧客ごとに分割して分析を行うことができます。
3.全体を整理して俯瞰することで気付きを得る
データを整理して不要な情報も削除したのであれば、分析作業に取り掛かりましょう。
この時に「営業活動のヒントを拾いたい」「成功パターンを発見したい」という確固たる目的があっても、一足飛びにその情報だけ見つけようとするのは早計です。
例え成功しているケースを発見しても、それがたまたまなのか、確実な成功パターンなのかは分かりません。
まずは全体を整理して俯瞰することで、営業部員の動きや顧客の反応から「活動内容の特徴=課題点の発見(気付き)」に繋げることができます。
例えば全体を整理した結果、最初の活動ステップである「初回訪問」に対して、次のステップとなる「見積り提示」の割合が少ないという結果を得た場合、「見積り提示に進んだケースの共通点はあるか?」という疑問が生じるでしょう。
その場合は「見積り提示」の話題を含むデータに限定して分析を行うことで、どのような活動結果によるものか、特徴を明らかにすることができます。
また、好成績を収める(成功率が高い)営業部員を特定できれば、その営業部員のデータに絞って分析を行い、個人のノウハウを可視化することもできます。
分析結果から得た情報が果たして重要なヒントなのか否かは、「全体の中でどの程度の割合を占めるか」「他の話題と比較して特徴があるのか」により判断がしやすくなると言えます。
素早く目的を達成したいのであればこそ、まずは全体を整理することをお勧めします。
4.分析結果は“鮮度が高い状態で”タイムリーに共有する
活動記録から課題や気付きを発見した後、その結果をフィードバックする際に“鮮度”を意識しましょう。
情勢や時期により、顧客のニーズや営業部員の動きも変化します。
先週の活動内容から得られた気付きが来月の営業会議で報告されても、「もうその案件は終わっちゃったよ」と手遅れになってしまうこともあります。
日々活動する営業部員に役立てるのであれば、先週の活動の分析結果は翌月曜日には報告できていることがマストです。
「理想としては分かるけど、他の業務もあるし報告書をまとめる時間も必要だし…」という分析担当者の声が聞こえて来そうですが、テキストマイニングツールに「バッチ処理機能」と「ダッシュボード機能」があれば、タイムリーに分析結果を共有することが可能となります。
※バッチ処理機能 : 指定した分析フローを自動処理する機能
※ダッシュボード機能 : 自動処理結果をサイトに反映し表示する機能
まとめ
営業活動に活力を与えるために、分析するデータのノイズを除去し、分析結果から得た気付きを“鮮度高く”タイムリーにフィードバックすることが重要です。
より詳細な情報や事例について知りたい方は、お問合せフォームよりぜひお気軽にお問合せください。テキストマイニングに興味をお持ちの方は、無料のセミナーもございますので、お気軽にご参加ください。
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