近年、コンタクトセンターにおける音声認識・音声テキスト化の利用の普及により、音声マイニング(=音声認識+テキストマイニング)の導入・活用を検討するお客様が増加しております。
音声マイニングの導入を検討するに当たっては、導入前にPOC(Proof of Concept:概念実証=導入前の検証・トライアル)を実施することが通例ですが、単に「POCの提案をして欲しい」とITベンダーに依頼をしても、目的と大きく外れた大掛かりなPOCを提案されることや、あるいはPOCを実施しても何の判断もできなかった、という結果になってしまうことが多々あります。
今回は、音声マイニングのPOCを検討する際に最低限考えておくべきポイントについて解説いたします。
1.音声マイニングで実現したいゴールを明確化する
まずは「音声マイニング技術を利用して何を実現したいか?」を明確にすることが重要です。
よく「音声認識の精度がどの程度かを検証する」という目的を設定されることがありますが、それは正しくは「プロセス」であり「ゴール」ではありません。
設定すべきゴールの例としては「音声マイニングによって、従来の手入力の対応履歴では発見できなかった、少数だがクリティカルな顧客の苦情・問合せを発見し、速やかに社内に連携する」などです。
このゴール設定の場合、それに必要なプロセスとして、音声認識の精度がどの程度必要なのか?を確認する、という手順となります。
2.所有しているデータや自社の環境について確認する
実現したいゴールを設定した後は、現在所有しているデータや自社の環境について確認し、「実現したいゴールとの差を埋めるためには何が必要か?」を詳細化していく必要があります。
例えば、「音声マイニングによって、従来の手入力の対応履歴では発見できなかった、少数だがクリティカルな顧客の苦情・問合せを発見し、速やかに社内に連携する」ことをゴールとした場合、
まず「従来の手入力の対応履歴では本当に顧客の苦情・問合せが抽出できないのか?」「実際にどのような声が漏れているのか?」を確認することから始まります。
もし、手入力の対応履歴で目的とする分析結果が得られるのであれば、無理して音声マイニングを導入する緊急性はなくなるからです。
音声マイニングが必要という場合、分析の目的に合わせた期間・データ量を定義し、それに必要な音声データが自社に揃っているかを確認します。
例えば、あるキャンペーンについての反響分析のPOCを実施したいのであれば、そのキャンペーン期間のデータが必要になりますし、現在音声データを蓄積していない、あるいは音声認識ソフトに対応した形式の音声ファイルがない、ということであれば、新規に音声データを蓄積し、音声認識をしてテキスト化をしていくことが必要となります。
3.POC後の本導入まで含めた全体設計をする
実現したいゴール・現在の状況が整理できたら、そのギャップを埋めていくためのプロセスを定義していきます。
最大のポイントは、POCの内容を決めるだけでなく、POCで何を検証して何を判断し、その次に本導入となる場合、導入はどのようなステップでどのように進めていくか、という「POCの後工程」まで含めた全体設計をしておくことです。
これができていないと、POCが完了した時点で「音声認識の精度がXX%と分かった」だけで終わり、「その情報から何をどう判断すべきか?」「次に何をするべきなのか?」が分からなくなってしまうからです。
POCから本導入に至るプロセスは、コンタクトセンターの状況や実現したいゴールにも依りますが、一般的な進め方としては、図1のように、まずはPOCで分析を実施して分析の目的が達成できるかを検証し、次にそれを小規模・期間限定で導入し自社での運用テストを行い、最後にその規模を広げる、といったプロセスとなります。
図1:音声マイニングの代表的な進め方(POCから本導入に至るプロセス)
4.まとめ
音声マイニングのPOCを検討する際には「音声マイニングで実現したいゴールを明確化する」「所有しているデータや自社の環境について確認する」「POC後の本導入まで含めた全体設計をする」の3点が最低限考えておくべき事となります。
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