会話を知るには「文脈」が欠かせない


通話ログやチャットログなどの会話データを分析する際に重要なのは、「話題」と「会話の流れ(文脈)」です。
どんな話題が発生したか、また話題がどのように連なることでどんな結果を生むのかを可視化することで、単なる問合せ分析ではない「会話のナレッジ分析」が可能となります。

今回は特に「文脈」に注目した会話分析手法をご紹介します。

会話における文脈の重要性

会話における分析単位は「単語(フレーズ)」「話題」「文脈」であり、単語が最も細分化された情報で、話題は単語を包含する「1つの事柄に関する対話」を指し、文脈は「話題の連なり」を示します。

人間が要点を記したアンケート、応対履歴、SNSなどの端的なデータであれば単語の頻度集計でも傾向は掴めますが、成形されていない、情報の取捨選択もされていない会話文を対象とした時、単語だけを見ても断片的すぎるため「何の話をしているのか」を具体的に理解することはできません。

そのため話題という括りで会話文を区切る必要があります。
これにより対話の補足関係を維持したまま、「何の話をしているのか」を具体的にとらえる事ができます。

話題単位で区切りって集計を行うだけでも話題傾向の確認など多様な分析結果を得ることができますが、会話は「Aという話題の後にBという話題が発生して、Cという結論になった」というような“文脈”が非常に重要な要素となります。
例えば、以下のような2つの文脈があった場合、結末は全く異なる物となります。
① Aさんは傘を買った⇒雨が降った(Aさんは濡れていない)
② 雨が降った⇒Aさんは傘を買った(Aさんは濡れている)

話題の前後関係や分岐により得られる結果が変わるため、「解約したい」という入電に対しても、そのまま解約をするパターン、解約を阻止して継続してもらえるパターンの違いを抽出することができるようになります。

文脈で捉えることで初めてわかる「トークノウハウ」

先に述べた「解約したい」とする入電に対し、抽出された文脈の例をご紹介します。

まずは解約を阻止できなかった文脈パターンとして、「金銭的な理由」で解約を希望するお客様に対し、今まで貯めてきた「ポイントの消失」を理由に解約阻止を試みている様子が伺えます。
ですが金銭面で問題を抱えるお客様には大きな利点とならず、そのまま解約となりました。


次に、解約を阻止できた文脈パターンがこちらです。
同じく「金銭的な理由」で解約を希望するお客様に対し、まずは「寄り添い表現」を行い、お客様が置かれた状況への共感を示していることが分かります。
その後「お得なキャンペーンの紹介」を行うことで、お客様の状況に合わせた特別な提案と感じさせ、契約内容を変更することで解約阻止へと繋げています。

同じように解約阻止を試みた場合でも、「どの話題の後にどんな話題を提示するか」によって結果が変わるのであれば、解約阻止率が高いオペレーターのデータに絞り、特徴的なパターンを抽出することで「属人化されたトークノウハウ」を可視化することができます。

会話データを分析する際には話題を捉え、更に話題の流れである「文脈」を抽出することで、より具体的な「会話のナレッジ分析」を実現します。


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