近年、コンタクトセンターにおいて感情解析機能の実装を検討するお客様が増加しております。
応対の音声ファイルの波形データを読み込み、そこから「怒り」「喜び」「悲しみ」といった感情の数値データを出力する機能のことです。
この技術を使用することで、クレームの早期発見や、オペレーターのストレスチェックなど、コンタクトセンターにおいて様々な活用が期待できます。
ただし、多くの場合、感情解析結果の数値について眺めるだけ・感心するだけで終わってしまうケースも少なくなく、実際にVOC分析の業務に活用するためには、いくつかのポイントを考慮しておく必要があります。
本記事では、感情解析結果をVOC分析に活用するためのポイントについて解説いたします!
目次
- 単独ではなく、テキスト情報と組み合わせて使用する
- 通話単位の数値ではなく、話題単位の数値を使用する
- 1件1件の数値ではなく、話題単位でグルーピングした数値を使用する
- まとめ
1.単独ではなく、テキスト情報と組み合わせて使用する
感情解析結果のデータは、それ自体が大変貴重なデータではありますが、そのデータを単独で使用しても効果は限定的です。
「怒りの数値が高い」「喜びの数値が高い」ことだけ分かっても、それがどのような話題に起因しているのか、時系列で見ると増えているのか減っているのかなど、詳細まで分からないと具体的な業務課題が発見できないからです。
そこで、分析の目的にも依りますが、一般的には、感情のデータを問合せのテキスト情報と組み合わせて使用することが必要となります。
例えば、「件数は少ないが、怒りの感情が高い問合せ内容を分析したい」という目的で分析をする際には、まずは通話内容をテキスト化し、テキストデータを問合せ内容に従って分類・集計したうえで、分類された問合せ内容ごとに感情の数値データを分析する、という流れになるからです。
2.通話単位の数値ではなく、話題単位の数値を使用する
感情解析の結果は、使用するツールにも依りますが、ある一定間隔(例えば数秒ごと)で数値情報を出力する、といった仕様であることが一般的です。
ここで注意したいのは、その結果を通話単位で平均化してしまうと、感情を特徴付ける重要な情報が欠落してしまう、ということです。
例えば、「序盤では怒りの数値は高くなかったものの、ある話題に対するオペレーターの説明を機に次第に怒りの感情が高まり、その後、ある話題の説明を機に怒りは次第に収まり、最終的には沈静化した」といった通話の場合、通話単位で平均化してしまうと「怒り」の感情は高くなく平均レベル、という結果になってしまいます。
従って、感情の数値データを使用する際は、通話単位の数値を使用するのではなく、通話内容を話題単位で分割をした、話題単位の数値を使うのが効果的です。
(※この「話題単位」のことを会話分析の手法では「セグメント単位」などと呼びます。)
3.1件1件の数値ではなく、話題単位でグルーピングした数値を使用する
ここでは感情解析結果そのものの精度については議論しませんが、音声テキスト化と同様、どのようなツールを使用しても精度は100%ということはなく、1件1件の解析精度に依存するような活用方法は現実的ではありません。
従って、1件1件の感情数値を見るのではなく、「『ログインできない』という話題が話されているタイミングでの、顧客の怒りの感情スコアの平均値」など、話題単位でグルーピングしたデータの集合に対して、感情数値の平均値や割合といった特徴を表す数値を分析し、傾向を把握していく、といった使い方が現実的と言えます。
万が一その中の一部に正しくない解析結果があったとしても、全体の傾向としては正しい結果を示している可能性が高いからです。
図1はこのような手順に従って、感情解析結果をVOC分析に活用した事例となります。
「接続できない」という問い合わせの話題が話されているタイミングで、顧客の怒りの感情が高くなる、という傾向が出ており、具体的な業務課題が発見できていることが分かります。
4.まとめ
感情解析結果をVOC分析で活用するためには
「単独ではなく、テキスト情報と組み合わせて使用する」
「通話単位の数値ではなく、話題単位の数値を使用する」
「1件1件の数値ではなく、話題単位でグルーピングした数値を使用する」
の3点が重要なポイントとなります。
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