チャットログの分析事例

近年、SNSやメッセージアプリでのテキストコミュニケーションの普及に伴い、コンタクトセンターにおけるチャット利用が増加しております。特にコロナ禍では、在宅での顧客対応やチャットボットによる自動応答など、チャットによる顧客対応のシーンが急増しており、それに伴いチャットログデータを分析・活用するという機会も増えております。

今回はチャットログデータの分析を実施するに当たり、テキストマイニングの観点から気をつけるべきポイントについて解説いたします。

1.分析目的の設定

チャットのログデータにはお客様からの問合せ内容(テキストデータ)、問合せの日時情報、対応者、満足度、「役に立った/役に立たなかった」のアンケート結果など、様々な情報が含まれます。

これらの情報を最大限に活用するためには、分析を始める前に、

まず分析の目的を設定することが必要となります。例としては、「VOC分析による話題傾向の把握」や「チャットボットが対応できていない問合せから新規FAQを作成する」などです。

 

2.データの前処理

分析の目的が設定できたら、次はデータの前処理です。

「チャットシステムからログデータをエクスポートし、分析ツールに投入してグラフを見れば良い」と思われるかも知れませんが、そう単純ではありません。

アンケートデータのような整形されたデータとは違い、チャットログデータは、以下の2点を考慮しないと効果的な分析ができません。

1)発話単位と通話単位の切り替え

チャットログデータのデータフォーマットは、チャットシステムによっても異なりますが、多くのシステムでは図1に示すようなデータフォーマットとなっています。

データ項目としては、日時情報、通話ID、対応者ID、テキストデータ、などです。チャットの入力単位に応じて1レコードが生成されており、このデータを「発話単位」のデータと呼びます。

一方、「通話ID」に着目し、同一の通話IDで発話の開始時点から終了時点までをマージし、整形したデータを「通話単位」のデータと呼びます。

分析の目的によって、発話単位と通話単位のどちらを使うかを適切に切り替えする必要があります。

例えば、「ある特定フレーズを抽出し、その出現頻度やトレンドを把握したい」という目的ならば発話単位のデータが必要となりますが、「話題の全体像を把握し、その件数割合を見たい」という目的ならば通話単位のデータが必要となります。

2)無人(Bot)と有人の切り替え

近年、チャット対応では、1次対応をチャットボット(無人)が対応し、解決できない場合に有人で対応する、というフローが一般的になっており、そのため、チャットログデータにはBot(無人)での対応部分と有人での対応部分が混在しています。このデータをそのまま分析ツールに投入するのではなく、分析の目的によって、分析対象を「Bot+有人」にするか、あるいは「Botのみ」「有人のみ」にするかを切り替えしていく必要があります。
例えば、「Botから有人に至る遷移を見て、どのタイミングで有人への切替が起きているか」を把握したいなら「Bot+有人」を分析対象にすべきですし、「有人での対応ログからチャットボットに投入する新規FAQを抽出する」という目的ならば、「有人」のみを分析対象にする、といった形になります。

図1:チャットログデータのデータ例

3.分析ツールの選択

分析目的の設定、データの前処理が完了すると、分析ツールを使って分析を実施することが可能です。
図2は、テキストマイニングツール「VextMiner」の「チャット分析オプション」という機能を使った分析事例となります。発話単位⇔通話単位の切り替えが自由にでき、また、Bot対応部分と有人対応部分を区別して分析ができるため、特別な知識がなくても、分析の目的に合わせたデータの前処理・設定が容易にできるようになっています。

図2:チャットログ分析の分析例

4.まとめ

チャットログ分析には「分析目的の設定」「データの前処理」「分析ツールの選択」の3点がポイントとなります。

より詳細な情報や事例について知りたい方は、無料のセミナーにご参加いただくか、お問合せフォームより、ぜひお気軽にお問合せください。

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